2006年9月29日金曜日

第30回日本小品盆栽協会東京支部展・小品盆栽フェスティバル

去る9月15日~17日、展示会を見学

なんどもつれづれ草でご紹介した日本小品盆栽協会
その昔は、中村是好、明官俊彦、佐野大助などが主力メンバーであった由緒正しき団体です

松平伯爵や杉本佐七翁の流れをくみ、東京を中心に活動を広げ
幾多の名人や大家を輩出してきました

盆栽界に対するその功績は計り知れないものがあり
今日のミニ盆栽の隆盛は、まさに偉大なの先輩達が築いた伝統のタマモノといえましょう



さて、上野グリーンクラブの会場風景

この団体は10cm以下のクラスのミニ盆栽(昔は豆盆栽と呼んだ)が主力です
きれいな飾り付けですね



会期中、役員さんたちは忙しそう
小さい鉢なので乾かないように出品物の管理が大変



出品席より

飾り付けの左右前後の空間の取り方が巧み

ただ、地板がすべて方形だったのが惜しかった
丸か天然の地板を一枚か二枚使えばもっと引き立ったでしょうね

山づたの紅葉鑑賞

初秋も過ぎて中秋といわれる季節になりました
そして、北海道の大雪山あたりからは早くも紅葉の便りが届くようになりました

ただし、関東の、まして盆栽棚の上ではまだとても紅葉鑑賞とはいきません
と思っていたら、山づたがちょうど見ごろに色づいているのに気がつきました

さっそく秘蔵の黄楊の天然彫の高卓を使って
みなさんとともに早めの紅葉鑑賞といきましょう



樹高15cm 鉢の間口7.5cmの山づたの懸崖 卓は黄楊の天然彫

この山づたが盆栽屋.comの棚に来たのは3~4年前
当時から根上がりにはなっていましたが、懸崖式の樹形ではありませんでした

それを思い切り下へ垂らし懸崖に改作、一蒼さんの小さな鉢にむりやり植え込んだのが
今年の春? いやいや昨年だったかな?

懸崖の樹形に馴染み、夏の日照りにもよく耐え
ともかくご覧のようにきれいな紅葉の姿となりました

商売人の棚に3~4年も居続けるというのは
早く言えば、売れなかったということ!
(あまり親孝行の盆栽とは言えませんね)

でも、お陰様でみなさんと一緒に早めの紅葉見物ができましたね
(これで少々の孝行をしてくれました)



ちなみに、普段はこのような格好で棚の上で培養されています

鉢が小さいので夏の水やりが大変でしたが
この山づたの乾き具合が棚全体の基準になっています

この鉢が乾いたころを見はからって
如雨露を持って棚を一巡、乾いた鉢に拾い水(ひろいみず)をする習慣になっています

みなさんも、自分の棚で一番乾きやすい鉢を基準にしておくと便利ですよ

では

2006年9月14日木曜日

見ずっこ買った荒皮性まゆみ

先日、7月18日の項でご紹介した荒皮性まゆみの兄弟で弟分になる木が売りに出された
そういう情報が耳に入ったので、急いで捜索活動に入りました

https://bonsaiyacom.blogspot.jp/2006/07/blog-post.html

市場に売りに出される前に手に入れたい!

やはりこんなとき、一番乗りを目指す若気(わかげ)が残っている
それに気がついたときの自分がちょっぴり嬉しくなります

はやる気持ちを抑えて、なんて言ってられない
騒ぐ血をさらに煽り立てて、あっちこっちと情報を集め、現在の持ち主をつきとめました

そして電話をかけ、しぶる相手を、例によってお得意の「見ずっこ買い」を使って口説き落としたのが
今日ご紹介する荒皮性のまゆみ

なにせ「見ずっこ買い名人」を自負する私です
今回も大いに期待できますよ

さあ、結果はどうかな、ご覧下さい!



幹の直径は足元で約4cm、先日の名木と同じくらいの太さ、樹齢も同じぐらい
樹高も8cm、皮肌もよく樹形もまあまあですが



足元の拡大図

かの名木と比べてしまうと足元の動き(模様)が単調
ちょっとがっかり

まあ、値段が違うんだからしょんがないか(ちょっと力の入らない自らへの慰め)
あっちがよすぎたんだい(むりやり納得)



後ろ姿

葉の吹込みが足りないのは、夏場の管理が不十分だったようです
全体に「やつれ」が感じられますね、ここでまたちょっと落ち込む



でも、この角度の足元の動きなどは、けっこうイケテますよ



あれれれッ、落ち枝の一本が上がって(枯れて)いるとは聞いていたんだけど
枯れ枝を元まで切り込んでみたら、元の部分の形成層まで死んでいた!

枯れ込んで間のない枝なら、幹に近い元の部分の形成層はまだ緑色をしていますね
そのような状態ならば、やけ込みの心配もないのに・・・

大失敗!
この時点で、相手さんの説明を電話で聞きながら、勝手にイイ方に想像を膨らませていた自分に気がつきました

遅かりし!

これではすぐの売り物になりませんね

傷の付近に数個の芽当りがあるのがせめての救いでしたが
この傷の推移と付近の水上げの関係を確かめるために、当分は様子を見なければなりますせん

ともかく、今回の「見ずっこ買い」は失敗の巻きでした、ガクッ

でも、こんなことでは懲りないぞー!

Aちゃんー、今度は負けないからねー
このつれづれ草を見ても気にしないでね、また見ずっこ売ってちょうだいよー!

では

2006年9月11日月曜日

水石の台座

先日ある水石の売店で「裸足」ですが、ちょっと気になる加茂川石が目に付きました
業界用語で「裸足」とは台座の付いていない石のことです

これら「裸足の水石」には案外の掘り出し物がよくあるんです
台座が付いていない分、テーマがボヤケテいて観賞価値を見落としやすく、なんとなく安手に見られてしますのですね

水石の道の究極は「見立ての美」
つまり個人の感性により石を何かに「見立て」て、そこに美を発見するのです



売店ではこのように「裸足」で売りに出されていました

かなりの持ち込みの加茂川石で、質も時代感も申し分ありません
あとは「見立て」の腕(ちがった目ですね)にかかっています

形は「岩形」とか「島形」と呼ばれる姿に見立てるのが自然でしょう
ここで注目するのは、向かって右下の空間です

この透けた空間がこの石の見立てのポイントでしょう
そこを強調した角度で名人に頼んで作ってもらった台座に据えた姿はこちら↓



右下の透けた空間がこの石の具体性とスケールを演出
荒波に足元を浸食された絶海の孤島のように見立てられますね

厳しい波浪は岸壁の上さえも侵食し岩石に抜けた空間を作り出しています
じつに厳しい景色



参考に正面やや上方よりの画像も添えておきます

あなたも「裸足」の水石を上手に見立ててみましょう
思わぬ掘り出し物に巡り会うはずです

2006年9月7日木曜日

黒松培養の工夫

20年も前に兵庫県の赤穂市へ黒松の買出しに行ったことがありました
季節はちょうど今頃の8月下旬だったと憶えています

ともかく陽射しが強力で眩しかったのと
日の暮れるのが関東よりも30分ほど遅かったことが印象として残っています

残念ながら目的の黒松の盆栽たちは私の好みではなく、商談は不成立でしたが
どの黒松も青々とした太く逞しい葉に仕上がっていたことには驚きました

培養法を尋ねても特別の工夫はしていなさそうで
まさに気候風土が適しているとしか思えませんでした

やはり黒松は長時間の強い太陽の光を好むんだと強く実感しました



さて、入梅明けから棚にアルミ箔を敷いてみました
太陽光線が葉裏の暗い部分に反射し、フトコロ芽の成長が促されると考えたのです

初めての試みなので効果のほどはまだわかりませんが
この反射光がフトコロ芽の成長に役立つはずです

来年までに工夫を重ね、もっと効率のいい反射板を考案したいと考えています