2012年4月25日水曜日

舞姫もみじあれこれ

むかし清姫とか鹿島などの八つ房もみじがありました
極小の葉と短い節間をもち、八つ房特有の芽数の多い品種でブームのごとく大流行したものです

しかしそれらには、盆栽樹種としての根本的な短所があったため
本格的な名木が出現することなく、人気は急激に下降線をたどり、今ではそれらの苗木さえもめったに見られなくなりました

その欠点は要約すると2つあり

その1つは、自身の特性でもある芽数の多さです
枝先に芽数が集中しすぎて、やわらかいほぐれを表現できないのです

もう1点はさらに深刻でした

若木のうちはいいのですが、樹形の骨格ができあがりいよいよ本格的盆栽へむけての
古木としての管理段階になると、とたんに樹勢が落ちてしまうのです

つまり、本格的な古木の盆栽には到達できないということで
これが決定的な欠陥でした

やはり盆栽樹種は本来の性質が強壮でなくてなりません
小さな鉢の中で長い間生き抜かなければならない、それも元気に出世しながらですからね

あれから何十年が過ぎ、現在では出猩々や紅千鳥や清玄などの色物は別として
山もみじ系統の場合は、葉性と枝性の優れたものを個体別に選ぶようにするようになっています

また、培養技術の発達により、普通程度の葉性でも様々な工夫によって
かなりの線まで枝先の繊細さを表現できるようにもなりました

そんな傾向の中で、安部性に次いでここ数年注目されているのが
山もみじから発見され固定種として繁殖された「舞姫もみじ」です


挿し木3年生苗 樹髙10㎝

切れ込みの深い端正な小葉性で、節間も短い
樹勢はふつうの山もみじと同じですから、本格的な古木盆栽としての将来性も有しています


抜群の小葉性ながら山もみじと同じ性質をもっているため、挿し木、取木などが容易
ゆえに、安部性もみじとともに本格的なミニの古木を目指せます

とにかく、世に広くその性質の良さを知ってもらうには
すぐれた作品の出現が一番ですね


さて、八つ房もみじや舞姫もみじのことを長々と述べてきましたが
みなさん、この仕立鉢のもみじは何だと思いますか?

じつは一昨日、幸運にも出会って手に入れたんですが、このもみじは「舞姫」の種木で
幹元の直径が約5㎝もあり、高さは1メートルもありますよ

繁殖用の種木が欲しいと思ってはいたんですが
こんな大きなものが手にはいるとは思いませんでした

ラッキー!

なんでも、「舞姫」を発見した愛好家さんがもっていたもので
原木から二代目くらいにあたる子供だそうです

さっそく大きな鉢に植え込んで
取木や挿し木の種木として大切に育てようと思っています

みなさんも楽しみにしていて下さいね

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