2012年5月18日金曜日

けやき実生挿し木・その2

さてこれから、けやきの実生挿し木の「その2」に入るわけですが
初心者の方は、改めて去のけやきに関するこのページと、下の画像をよく見てください



繰り返しになりますが、この実生挿し木はけやき盆栽の命ともいえる

1 の根張り

2 の素直な立ち上がり

3 1から3までの立ち上がりの短縮

それらを作り上げるための必須の技術なのです
初心の方は、そのことを念頭に入れてこれからの後半を読んで下さいね


作業日 4月25日

挿し木の前に、あらかじめ水やりを行なった植え土に穴をあけておきます
ちょっと大きめの方がいいでしょう


作業日 4月25日

発根促進剤(ルートンなど)を切り口に塗布します


作業日 4月25日

切り口の先端を傷めないようにそっと挿します


作業日 4月25日

挿し穂は真っ直ぐに上に向けて直立させることがコツ
せっかく真っ直ぐな立ち上がりを作ろうとしていることを忘れないで

最後に、足元を軽く押さえておきます


作業日 4月25日

こんな要領
丁寧にやれば別段むずかしいことはありません


作業日 4月25日

こんな感じ
長めの挿し穂なので貝割れ葉が地表からかなり離れています


作業日 4月25日

6×8=48本が仕上がりました
上から静かにたっぷりと水やりをして作業完了

さて、実生挿し木の作業は案外簡単でしたが
これからの管理は少々神経を使ってくださいね

何と言っても、発芽したばかりの苗は根を切られてしまっているし
本葉も固まっていず、まったく頼りない状態ですからね

これからの培養管理のポイントです

1 10日ほど風の当らない日陰に置く

2 その間、噴霧器で一日数回の葉水をやる

3 一週間くらいかけて、少しずつ外気に慣らしていく(葉水励行)

4 曇りか雨の日を選んで棚上での管理に移る


棚上での管理に移ったばかりの苗(5月8日日観察撮影)

挿し木をしたときにはまだなかった十字葉も出て
葉の色つやも良好です

これからは一般の盆栽と同じ棚の上で管理しますが
とにかくまだ幼いため、水切れには最大の注意をはらいます

それでは、実生挿し木の作業はこれで終了しますが
これらのけやき苗の生長は順次みなさまにご報告しますので、お楽しみに

では

2012年5月12日土曜日

けやき実生挿し木・その1

けやきの箒作りのもっとも基本となる
真っ直ぐな立ち上がりと八方根張りを実現するための技法が実生挿し木

もちろんある程度の成木になってからの取木も可能ですが
とくにミニサイズ(15㎝以下)の箒作りの場合は、実生からじっくりと作り込んでみたいものです

そこでフリースクールのみなさんにも、基本から体験してもらいたいとの思いで
秋に採取した種子を冷蔵庫で保管し、3月19日(彼岸)に播種しました


早いものは4月中旬には発芽し、最初に貝割れ葉(円い葉)が出て
その先に本葉が伸びかかってきます

まだこの段階では、実生挿し木を実行するには
やや早すぎます


早くともこのように貝割れ葉の先に本葉が出て、それがやや固まるころまで我慢
やや早めながら、このあたりからが実生挿し木の実行可能な時期となります


最初の本葉が固まり、それに交叉するように左右に出てきた葉を十字葉といいます
このあたりまで我慢すれば、かなり活着率もよくなります


ただし、下の画像(本葉の出始め)と見比べてください
この時期になると、貝割れ葉と本葉の間がかなり伸びていますね

ですから、ミニサイズを目指すひとは、管理に手間がかかり活着率が落ちるのを覚悟して
早め早めに挿し木を実行し、可能な限りサイズの短縮を計るわけです

ですから、実行される方は種子を多めに播いて、それらの発芽と成長にあわせ
順番にいろいろな成長の段階で実行していけばよろしいでしょう

それでは実際の作業に進みましょう


作業日 4月25日

貝割れ葉の上に本葉が出始めた段階の苗
ちょっと早めで活着率は落ちるけれど、実生挿し木が可能な段階に入りました


作業日 4月25日

絶対に乾かしてはいけませんから
あらかじめ水を入れたバケツを用意してから苗を採取すること


作業日 4月25日

輪切りした大根がまな板になります

長い矢印が貝割れ葉と本葉

本葉の位置が最初の枝分かれになるので
枝下の長さは目的によってどこから切っても自由ですね

つまり樹髙の低い木を望むならば貝割れ葉の下1㎝くらいで
高い木ならばできるだけ根に近い箇所で切ることになります


作業日 4月25日

よく切れるカッターを使いましょう
貝割れの約1.5㎝ほどで切りました


作業日 4月25日

この苗は約2.0㎝くらいはあるでしょうね


作業日 4月25日

こんな感じ


作業日 4月25日

実際に計ってみましょう


作業日 4月25日

この苗は本葉が既に固まり
十字葉が出てきた段階ですね

このように、同じ日に播種して、発芽と成長は一様ではありませんから
約一ヶ月くらいの間に順番に実行が可能です

つづく