2017年11月27日月曜日

フリースクール・けやき超ミニ
















昨日は、今月最後のフリースクール講習日。ここ数日朝晩の冷え込みは厳しくなって霜も降り始めました。まさに本格的な盆栽シーズンの到来ですが、手入れの順番としてはまず雑木類の剪定から始めるのが定石でしょうね。

というのも、雑木の代表格であるもみじやカエデ類は晩秋の休眠期に入るのも早いけれど、早春のお目覚め時期もすこぶる早い。12月の末ごろにうっかり切り込むと樹液がポタポタと吹き出してくることもあります。

その様を見ると、人間に例えれば多量の出血を見るようで決して気持ちのいいものではありませんね。ですから雑木の剪定はできるだけ早く、そうですね、12月の半ばごろに終わらせたいですね。その適期を逃した場合は春先に根の剪定と同時に行うようにします。

さて、今日ご紹介するのはツカさんが取り木から仕立てたけやきの超ミニ。細いれど姿といい古さといいかなりの優良品ですね。それに双幹体なのが珍しくて新鮮です。ここまで来ればあと1年枝先の面倒を見て、来年度は展示会の松粕類の添えとして使いましょう。まだまだ伸びしろのある超ミニですよ。気合を入れてがんばりましょう。

2017年11月21日火曜日

舞姫もみじの紅葉

舞姫もみじは、細かい枝先の分岐や、切れ長の細く端正な葉形などに他の種類にはない強い特性があります。ところが、それらに加えてその濃い鮮やかな紅葉時の色彩が、他の紅系の優良種に比べても遜色ないということがわかってきました。


取木をして株立状に仕立てている超ミニの舞姫ですが、葉刈りもしないのにこのように真紅に紅葉します。出猩々なみの色彩ですが、出猩々では葉肉が薄いのでなかなかここまできれいに紅葉しきれませんね。

その点、舞姫もみじではさほどの努力をしなくとも、この程度には簡単に紅葉するのですから、有り難いです。


ちょっと日当たりの鈍い場所でも、この程度に色彩がでました。あと数日強い日差しに当てればもっと濃い紅葉に変化するでしょう。片側は緑色で、日当たりのよい方が虹のように変色していてとてもきれいです。


このミニも真紅の紅葉が見事です。よく日に当てて水も切らさぬようにていねいに管理するのが美しい紅葉を見るコツです。


日光の移動とともに紅葉の色彩も変化しています。


舞姫の切れ長の小さい葉は持ち込むほどに大きさが揃ってきます。揃って密になった葉がいっせいに紅葉すると、みごと盆上に美しい自然が再現されます。

適度な日照、寒暖の差、適切な水やりの三要素が美しい紅葉の源です。


追加の画像です。枝数がふえて芽数が多くなると舞姫の葉はさらに細かくなって、大きさもきれいにそろいます。その揃った葉がいっせいに紅葉すると非常にきれいです。


フトコロの部分はまだ緑が残り、枝先は濃い紅色に染まり、微妙な変化が楽しめます。












2017年11月20日月曜日

もみじの枝作り

期待をかけている山もみじの超ミニがあります。↓のもみじいですが、樹高はわずかに8.0㎝で足元の立ち上がりの幹径は5.0㎝もあります。時代感もたっぷりだし模様もコケ順もよくって云うことないボディーです。

ところが、一とニの枝の裏側にある裏枝が二本あってそのあたりがごちゃついて見えるために、幹筋の動きがすっきりしません。超ミニサイズではよくあることです。


正面の図
左右に利き枝がありますが、右の利き枝の上部に裏枝が二本あってお互いをけん制しています。古い枝ですが、ここで思い切って外せば、幹筋が見えるようになると思います。


→で示した足元のこんもりとした枝です。


裏から見ると左から二番目になる枝ですね。横に一列に三本の枝が並んでいます。左は正面の利き枝、二番目が外す枝で、三番目が残して裏枝として活用する枝となります。


赤矢印で示したのが外す計画の枝です。


コブ切の刃が傷口の大きさにピタッリと合ったので上手く削れました!


液体状のカットパスターを塗布。


傷口の隣の利き枝の元が丸く膨らんで、ややぶかっこうですね。いまその元を削るという選択もなくはないですが、やはり今削った傷口が癒えてからの方が無難でしょう。慎重を期して後回しにします。

















幹筋をすっきりと見せるために削る箇所は灰色で修正した利き枝の元の膨れた部分です。その次には、その上部のやや後ろから顔を覗かしている太めの後ろ枝となります。

このように古木には今までに整理しきれない古い枝がよくあって、幹筋の流れの妨げをしていることがたまたま見受けられます。そんなときはよく検討して少しずつ修正してやりましょう。

では!














2017年11月17日金曜日

楓変わり木鑑賞

我が盆栽フリースクールの最年長のツカさんが、骨格の素材段階に手に入れて、8~9年作り込んだ楓の変わり木です。現在は故あって盆栽屋,comの棚に鎮座しているのですが、落葉時期でもあるので木姿をじっくりと眺めてみよう。

ちなみにこの楓の樹高は意外に小さくて、30㎝を軽く下回って28㎝くらいです。ご覧のように差し枝が暴れたような変形の構図なので姿が大きく見えるのでしょうね。


今年の秋は長雨のためあまり鮮やかな紅葉というわけにはいかなかったですね。ただこの画像からはこの楓の葉性(はしょう)と枝性(えだしょう)が細かく、優れた性質であることがお分かりいただけると思います。

松粕であれ雑木であれ作り込んでいくうちに、持って生まれた優れた素質には適わない、そんな思いをすることがよくありますが、とにかくそんな美点は何よりも大切にしたいものです。


きれいにすべての葉を刈ってみました。今年この楓にたいしてツカさんは、2回以上の葉刈り作業を施しているはずです。その事実はご本人から聞かなくともこうしてほぐれた枝先を見れば瞭然ですね。

ところで、いかがですか、このおもしろい変わり木樹形は?

幹筋は本格的な模様木風ですが、左の足元からそう遠くない位置に2本の枝があって、それがまず第一の個性ですね。そして上の右側の最大の利き枝は横へ伸びるのではなく、途中から隣の幹筋と並んでもう一つの樹冠を形成しています。局限すると、見たこともないような原始的で奔放な姿ですね。

これが雑記でなく松柏であれば、まさしく、双頭の龍のような構図とも例えられるでしょうね。いずれにしても躍動的な力にあふれた構図です。


いっぽう、実物を見るとあまり目立たないのですが、赤矢印で示した数本の枝の流れに違和感がある感じなので、指摘したいと思います。�↓で拡大してみましょう。�


下向きの何本かが流れを妨げているようですが、現段階では構想が固まっていません。ここでは一泊して次の段階で解決していこうと思います。大切でもあり難しくもあるポイントになる箇所のようですから慎重にいきましょう。


やや上方から全体の輪郭線を見ます。小枝のほぐれ具合から見て、早くとも3年、できれば5年くらいの長期計画でじっくりと取り組みたい逸材です。必ずや一流展示会で活躍できる逸材ですよ。

そのころになれば、現在はちょっと気になる幹の全面の傷跡などもなまなましさが消え幹味となっているでしょう。たいがいのことは持ち込みの辛抱が解決してくれのが盆栽です。


正面のやや視線を下げた位置からの撮影ポイントより見るとスケールが大きく見えます。力に溢れた迫力のある姿が見どころですね。

本格的な手入れはまだ終わっていないので、雑木盆栽独特のきれいさがまだ発揮されていませんが、じっくりと手を入れて磨き上げれば、見違えるような晴れ姿に変わるはずです。

それでは。











2017年11月16日木曜日

京焼外縁丸


先週あるところで京焼の金襴手の上等品に出会って、手に入れることができました。商品の売買は盆栽屋にとっては毎日の日課の一部なのですが、とにかく気に入った品を気に入った価格(!)で買うことができたときの爽快感はまたかくべつなものがあります。例えていえば、盆栽屋冥利につきるとはそんな気分を表す言葉だと思います

さてさて、前置きはそのくらいにして実物を見てみましょう。古い桐箱つきで京焼外縁丸と書かれています。形は外縁で胴の中ほどに紐が廻っていて足はベタ足です。

このシンプルな形状から鑑賞だけでなく実用にも優れた鉢であることがわかります。ところがこの鉢を初めて見た瞬間から、私は何か不思議なある興味深い印象にとらわれていました。

京焼の代表的な技法である金襴手の華やかさと精緻な雰囲気がみごとでし、さらには細部を見ると、金襴手の下地の白磁釉がたっぷりと施された感じに製作者の息吹のような勢いが感じられてとても新鮮です。

ところが、このように京焼の代表的な作品には違いないのに、なぜか不思議に支那大陸の匂いがしてならなかったのです。もちろん鉢そのものは気に入っているのですから、その匂いは私にとっては、いい匂いであることにはちがいありません。

永楽善五郎を代表とする金襴手の華やかな意匠がみごとで、京焼であることには間違いあえいません。


鉢底に厚目に施された下地の白磁釉の部分の質感もなかなか味がありますね。ざっくりと開けられた二つの水穴にも不思議なほどの存在感があります。

私の当初から感じている違和感は、もちろん私はそれ故に余計この鉢に魅力を感じているのですが、この水穴を中心した鉢底の景色において最高潮になるのです。支那大陸の匂い、すなわち南京鉢のことです。


内側の作りにも力強い大陸の造形感覚が感じられます。そう思うと、やや半磁器っぽい堅牢な土目も、京焼よりも南京に近い雰囲気を持っているようにも見えてくるのです。

この鉢を見た私の親しい鑑定仲間のひとりは、成型から白磁釉までは中国の南京として作らたものが、渡来して以後に京焼の金襴手を施されて京焼として新たに生まれ変わった作品である、との大胆な推論を立ててくれました。

と云う訳で、その説の真偽のほどは今更たしかめようがありませんが、とにかく日中にまたがるハーフ鉢じゃないかと推測される素晴らしい作品に巡り合った私でした。

2017年11月14日火曜日

けやき箒作り12年目

例のけやきの箒作り、今年が10年か11年目と思い込んでいたところ、紅葉の写真を撮ってブログに載せる準備を始めてみると、10年はとっくの昔で、今年は既に12年目でした。

月並みながら、月日の経つのは早いもので、1年2年は矢のごとしですね。

2015/11/27 けやき箒作り10年目

↑は今年の画像で↓は2年前の姿ですが、このくらいの樹令になると1~2年間の変化は僅かなものなので、比べてよく観察しないと成長ぶりを見て取るにはなかなか骨が折れそうです。


この画像は2年前のものですが、上の今年の画像と比べてどぷでしょうか?やっぱり同じ落葉の姿でないと比較するのが難しいようですね。

ただ、立ち上がり付近の太さや木肌の時代感だけを見ると、さほどの変化は感じないようですね。それでは葉を落とした画像は次の機会にするとして、本日はちょっと短めですが失礼いたします。。

それでは。